自転車から学んだこと

不思議に思うことがあります。
人は、困難を避けたいと思う一方で、困難に挑戦したくなる生き物でもあります。

私は10年以上ロードバイクに乗っています。
始めた頃は、坂道を避けていました。
できるだけ平坦な道を選び、「スイスイ楽に走れた。」で満足でした。

ところが数年経つと、不思議なことが起こりました。
平坦では物足りなくなったのです。
少しの坂へ。さらに急な坂へ。
そしていつしか、「もっと登ってみたい。」と思うようになりました。

富士あざみライン

日本でも屈指の激坂です。
全長10Kmを超え、20%の長い激坂区間も現れます。
最初に挑戦した時、途中、長い坂を見てで心が折れました。
「これは無理だ。」

そして翌年、クランクを交換し、再挑戦しました。
激坂区間は、坂の上を見ませんでした。
ただ目の前だけ見る。
一回転、また一回転。それだけを繰り返しました。

気づけば、足つき無しに登り切っていたのです。
私は、苦しい思いをするために、わざわざ坂を登っている。

誰にも強制されていません。
自分で選んでいるのです。なぜだろう。
そこには、人間の本質があるように思えてなりません。

そして、私はこんなイメージを持つようになりました。
もし全知全能なる存在があるのなら。
何でもできる世界ではなく、
「できない世界」を体験してみたい。

そう願ったのではないでしょうか。
失敗から学ぶこと。努力する喜び。
迷い、悩みながらも、一歩ずつ前へ進むこと。
もちろん、これは私自身が思い描いている一つのイメージです。

体験して感じたい

人生には、思い通りにならないことが多々あります。
仕事、人間関係、健康、お金…。
私自身も、これまで様々な出来事を経験してきました。

その最中は苦しく、
「なぜこんなことが起こるのだろう。」
と思うことも何度もありました。

でも今は、その問いが少し変わりました。
「私は、この出来事を通して何を体験しようとしているのだろう。」

そう考えるようになったのです。
もちろん、苦しみを美化したいわけではありません。
できれば避けたい出来事もあります。

しかし、困難には困難なりの意味があるのかもしれない。
そして、それを乗り越えた時にしか見えない景色がある。

その景色を見るために、この人生を歩いているのかもしれません。
私はロードバイクを通して、そのことを教えられた気がしています。